「年の晩の火」 2
一夜があけました。すると旦那が、
「おまや物置小屋に妙なものをいれているようじゃが、あれはどういうわけか」
と聞きましたので、下女は、
「旦那さん、じつはゆうべ、こうこういうわけで、死人の棺桶を、しょうなし、もらいました」
と答えました。
「おまや、あれは死人じゃろこたして、お金がいっぱいはいっちょっが。」
そこで、びっくりした下女が小屋に行ってみますと、ほんとに桶の中にはいっぱいお金がはいっていました。
「旦那さん。これはどういうねけでしょうか。このお金はどうしたらよかでしょうか。」
「これは、おまえの感心な心を神さまがちゃあんと知って、おまえに下さったものじゃろう。これは全部おまえのお金じゃ。おまえが一番ののぞみは何か。」
「私ののぞみは杉山にお宮をつくって、その前に池を掘って橋をかけてもらうことです。
そして、このお金を恵んで下さった神さまをおまつりして、お礼を申しあげたいのです。
これよりほかにのぞみはありません。」
「そうか。それはやすいことじゃ。」
そこで、さっそく大工をたのんで、お宮つくりがはじまりました。
やがて、下女の、のぞみどおりのお宮ができあがりました。
「さあ、できあがったようじゃが、これでよいか、しらべてみらんか。」
そこで下女が、
「ほいなア、旦那さん、私がこのお宮にはいってしらべてみましょう」
晩といってお宮にはいったら、とたんに下女は美しく輝く観音さまの姿になってしまいました。
おしまい。
これが屋久島ツアーなどで人気のある屋久島に伝わる民話、「年の晩の火」です。
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